【手記】ジャーマンレイルパスを利用してドイツ各地を巡ったときのコト

旅行記

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クローゼットの中をがさごそと探し物をしていると、古い手帳がでてきた。
探し物とは違う掘り出し物。
ちょっと中を……とページをめくって覗いてみると、思い出される懐かしき日のこと。

僕がドイツに行ったばかりのときに使っていた、手帳。
もう10年近く前の2007年の手帳だ。
ドイツへ向かったその初日の夜から、手帳に数行ずつ、その日にあったことを記していた。

読んでみると、こっぱずかしい内容ながらも、そのときの情景が思い出される。

数年前、日本を出てドイツに滞在することにした友人と僕は、住むところを決めないままベルリンに向かった。
そして、なんとか住むところが決まるものの、部屋のクリーニングのため10日強の時間を持て余すこととなる
その時間を、僕らはドイツの各地を巡ることに使うことに決めたのだ。

そのときのことを、手記の内容を交えつつ。
※手記の内容そのままにしている部分もあるので乱文すみません

持て余した10日でドイツ各地を巡ることにした

数年前、日本を出てドイツに滞在することにした友人(下記、ヤカン)と僕は、住むところを決めないままドイツに着いてしまった。

1日目

ドイツに発つ前日に、ベルリンに住む日本人のアパートのオーナーとかろうじてコンタクトがとれていた僕らは、フランクフルト空港に午前中に着くと、その足でベルリンに電車で移動し、夜にオーナーの自宅に訪れた。

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オーナーは空き部屋のあるアパートの大家に連絡をし、次の日に僕らと大家のアポを取り付けてくれた。
部屋を見せてくれるらしい。

まるで何も決めない状態でベルリンに着いてしまった僕らは、その日の夜のホテルも見つけられなかった。

1日目から駅で夜を明かすこととなる

Friedrichstr.駅にはよっぱらった男や騒いでいる奴らがいてなかなか寝付けない。
初日の夜から駅で過ごすことになるとは、おもしろいじゃないか。

2日目

ドイツ初日ということもあり気が張っていてほとんど寝れなかった僕らは、明るくなるまで喋って過ごした。
明るくなり人がでてきたことに安心したのか、近くの国会議事堂の前の広場で昼まで爆睡してしまう。

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まさか2日目に国会議事堂前で寝ることになるとは。
アジア人が2人堂々と寝ていても、起こさずに気持ち良く寝させてくれるドイツ人の懐の広さに感服。

睡眠もとれた僕らは、硬くなっていた身体を伸ばしながらアパートへと向かい、ドイツ人の大家に部屋を見せてもらった。
部屋は申し分無く、即決で契約することに。

しかし、前の住人が出て行ったばかりとのことで、クリーニングが必要とのことである。
住むところがないまま、10日強の時間を僕らは持て余すこととなった。

アパートを即決した僕らは倉庫に荷物を置かせてもらい、10日後の再会を約束して大家と別れた。

僕らは、ひとまずホテルを探すことにした。
ベッドで寝たかった。
身体が痛い。

ユースホステルに宿泊できることとなり、ホテルの近くでdönerを食べた僕らは、早々にホテルに戻った。
dönerはケバブのようなもの

部屋は4人部屋で、マリオのような髭を蓄えた陽気なドイツ人の男性が一緒だ。

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10日ほど時間を持て余しているんだ

僕が相談すると、

君たちはGerman Rail Pass(ジャーマンレイルパス)が使えるはずだよ

と彼が教えてくれた。

ジャーマンレイルパスとは、有効期間内であれば距離に関係なく何度でも高速列車に乗ることのできる、ヨーロッパ圏外に居住する旅行者だけが購入できる割安なチケットのことだ。

利用開始日から1カ月間の有効期間内で3日、4日、5日、7日、10日分の鉄道利用日が選べるフレキシータイプと有効期間5日間、10日間、15日間の定期券タイプの2種類がある。

詳しいルールや予約は下記から。

ユーレイル ジャーマンレイルパス

素晴らしい。
お金をそんなにかけなくてもドイツを巡れるじゃないか。

電車に自由に乗っていられるなら、その分ホテル代も浮かせるかもしれない。

ベッドに横たわった僕らは、2段ベッドの上と下でそんな話をしながら、いつの間にか眠りに落ちていた。

3日目

翌朝、ベッドで眠り疲れの取れた僕らは、ジャーマンレイルパスを購入するために駅に向かった。
10日強の時間がある僕らは、有效期間5日の有効期間内1カ月のフレキシータイプを購入。
現在だと¥24,300のようだ。
当時の価格は覚えていない。

作戦は

  • 短い距離はパスを使わず実費
  • 長い距離を何度も移動する日にパスを使用

である。

ジャーマンレイルパスを手に入れた僕らは意気揚々とICE(高速列車)に乗り込んだ。
1回目のパス使用である。

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目的地はFrankfurt。
西のほうに行こう、というざっくりとした方針で決めた。

僕らのお供は初日に購入した手のひらサイズのドイツ国内の地図と地球の歩き方。

いくつか行きたい場所の候補はあったが、特にルートは決めないで出発することとした。

行き当たりばったりが、結局1番楽しい。
行かなくてはいけない場所なんて、僕らにはないんだ。

さて、Frankfurtに向かった僕らは1時間ほどしてから、乗っている電車がどうやら目的地に向かっていないことに気が付くことになる。

というのも、初日にFrankfurtからBerlinに列車で来たわけで、その時乗っている列車は初日の逆ルートを進むはずだ。 しかし停車する駅は見覚えのない駅ばかりである。

それもそのはず。

僕らは目的地のFrankfurtとは全く逆方向のFrankfurt Oder行きの列車に乗ってしまっていたのだ。
まぎらわしい名前である。

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慌てて途中下車してBerlinに戻ったが、Frankfurt行きの列車がすでに無くなっていたため、たまたま停車していたHannover(ハノーファー)行きの列車に飛び込んだ。 列車の中でヤカンと笑い合った。

初日からこの有様である。

ジャーマンレイルパスを買っておいてよかった。 これなら乗り間違えてもなんとかなる。

Hannoverには19時頃、暗くなってから到着した。

サッカーで街の名前を知っていた僕らは若干浮かれていた。 ベルリンでの野宿に辟易していた僕らは、一先ず調べておいたユースホステルに向かうことにした。

途中、大きな湖があり、その周りで過ごす人々が遊牧的で印象に残っている。

ユースホステルには無事に空きがあり、オーストリア人2人組との4人部屋となった。

夕食はホテル前のビアガーデンにてソーセージとビール。

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全く来るつもりのなかった場所で、旨い食事にありついている。

理想的な旅の始まり方である。

4日目

ユースホステルの朝食はビュッフェ形式が多い。
この後の旅でずっと続く問題なのだが、ドイツのパンは固く、油断するとすぐに口の中を切ってしまう。
この日も血の味を感じながらの朝食となった。

午前中はHannoverの街中をぶらついた僕らは、午後になりHameln(ハーメルン)に向かった。
近いからというのと、ハーメルンの笛吹き男で知っていたから、という理由である。

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ハーメルンはドイツ伝統の家が並ぶ、パステルカラーの美しい、かわいい町だった。
が、あっという間に探索は終わってしまい、1時間ほどでHannoverに戻ってしまった。

夜中の列車でどこかへ向かおうと決めた僕らは、大きなビニールハウスのような建物(内部では大型スクリーンでアーティスティックな映画を上映していた)でビールを飲みつつ煙草を吸って過ごした。

5日目

夜中の電車は無く、Hannoverの駅の待合室で朝まで過ごすこととなった。

始発でStuttgart(シュツットガルト)を経由しHeidelberg(ハイデルベルク)へ移動(2回目のパス使用)。
運良くユースホステルが見つかり、チェックインした。

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その後、温泉に入ろうとBarden Bardenに移動。

温度が低く水着で入るため、風呂はプールのようだったが、サウナがアロマも効いていて疲れがとれた。
ユースホステルは6人部屋。

Heidelbergの街が2人揃って気に入ったため、3泊することにした。

6日目

Heidelberg巡り。
それまで拠点を持っていなかったため、夜寝る場所が確保されている安心感は計り知れなかった。

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城に行ったり、大きな川沿いを優雅に散策。

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夕食は何故か空手の練習が行われているグラウンド横のレストランでとった。
当然のごとく、ソーセージとビールである。

空はどこにいても、同じだ。

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7日目

固いパン』に辟易としていた。
が、お金が無い僕らは朝食のパンをポケットに忍ばせ、昼もそのパンを食べるのだ。

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この日はStuttgurtに行き、美術館巡り。
美術館は大規模なものが多かったが、あまり印象には残らなかった。

その後、映画館で何故かパイレーツオブカリビアンを見た。
ドイツ語吹き替えのため、当然話していることはわからない(ヤカンも僕もドイツ語は全く、だった)。

宿泊はHeidelbergのユースホステル。
このホテル最後の夜だ。

8日目

Heidelbergを去り、Rothenburg(ローテンブルグ)へ。
古城ホテルに泊まってみたかった、という理由である。

古城を改装したユースホステルがあったので2泊予約。

4人部屋だが、運良く残り2人の宿泊は無しだ。
これまで毎日相部屋だったため、気を使うのに若干疲れていた。
荷物を出しっ放しにしてビールを持ち込みくつろぐ。

この日、足に異変

足裏が痛くて地面を強く踏めなくなった。
靴を見てみるとソールが削れてほとんど無くなっていた。
ドイツの道は石畳が多く、硬い。

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靴屋を見つけ、新しい靴を購入することにした。
歩き続ける旅だ。
新しい相棒の誕生である。

9日目

Rothenburg巡り。

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Rothenburgは街全体が城になっており、どこを歩いていても楽しい。
しかし、道が全て荒い石畳のため、足が非常に痛い。

夕飯で珍事件

二人ともドイツ料理以外を食べたくなっていたため、中華料理屋に入りラーメンを注文した。
僕はワンタン麺、ヤカンは海鮮麺。

僕はおいしくいただいた。
スープまで飲み干したくらいである。

しかし、ヤカンの様子がおかしかった。

海鮮麺にはカマボコのようなものと、海老と、貝(カラス貝のような、コケ付き)が入っていたのが、貝がとてつもなく臭いと言う。

ちなみに、ヤカンは鼻炎持ちで普段から匂いをあまり感じられない。
その彼が、「臭い」と言っているのだ。
貝を取り去って食べようとしていたが、スープに味がうつっているようで断念していた。

腹も減っていて、食物への執着も強い時だったので、残すなんてよっぽどの事だ。
がっかりするヤカンを笑いながら、ホテルに戻ろうと中華料理屋の裏にある小橋を渡ると、その橋の下を流れる用水路(ドブに近い)の壁に先ほどの貝と同じ見た目のものがびっしりとくっついていた。

あれか……」と言ったヤカンの声が忘れられない。

腹がねじれるほど笑った。

10日目

RothenburgからNürnberg(ニュルンベルク)へ移動(3回目のパス使用)。

美術館・博物館を巡る。
古代品を扱った博物館から、現代アートを展示した美術館まで、バラエティーに富んでいて楽しめた。

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宿泊はまたも古城を利用したユースホステル。
Rothenburgのものよりも気品に溢れ、立派だった。

相部屋でMauricioという友好的なスペイン人に出会うこととなる。
Mauricioとは同年代ですぐに打ち解けた。
彼は医者で、バカンスでヨーロッパを巡っているとのことだった。

11日目

朝食をMauricioと共に食べた後、彼とは再会を誓い別れ、ヤカンと僕はMünchen(ミュンヘン)へ移動することにした(4回目のパス使用)。

Münchenに着いてすぐ、アパートのオーナーが勧めてくれたPrien am Chiemseeへ向かう。

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ドイツの田舎といった風情のその町には広い公園のような場所があり、その公園内にある大きな湖の中心に島があるのだ。
島には船で渡れるようになっており、美しい宮殿や庭があり、貴族のような優雅な気分になれる場所だった。

美しい場所である。

12日目

この日はMünchenを巡ることにしたのだが、旅の疲れからか、外のポカポカした陽気に誘われ、川沿いの芝地に寝転び、2人して朝から寝てしまった。

目覚めると、寝る時は僕ら2人だけだったはずの芝地で多くの人が時間を過ごしていた。
時計は昼の12時頃を示していた。

人がたくさんいることに驚いて寝ぼけ眼で周りを見渡すと……すぐ隣や後ろにトップレスの若い女性がいることに気付き全く周りを見れなくなった
なんなら全裸の人もいる(おばあちゃんだったけど)。

日本では見たことのない光景に、僕らは完全に戸惑っていた。 どうやら僕らは人が集まる場所のど真ん中で爆睡していたようで、伸びをしようものなら人に触れてしまうくらいの密集度だった。

ひそひそとヤカンと策を練る。

どっちから出る?

というのも、早く群れから脱出したいのは山々なのだが、どこから外に出れば良いかわからないくらい人で埋まっていたのだ。

寝ている人が多く足の踏み場がない上に、皆が肌を露出しているのだ。 加えて僕らは大きなリュックまで持っていた。

通り抜けづらい。

参ったね

諦めて人が減るのを待とうと話していた時、すぐ後ろに座っていたトップレス集団が川に入りに行った。
それに乗じて、慌てて僕らはその場を去ったのである。

文化の違いを肌で感じた時間だった。

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午前中の睡眠で元気になった僕らは、午後は街を散策することにした。 その途中、道端でNürnbergで知り合ったMauricioと偶然再会し、一緒にビールを呑んだりして楽しく過ごした。

夜まで街を練り歩いた僕らは、夜中の列車でHamburg(ハンブルク)へと向かった(5回目のパス使用)。

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13日目

早朝Hamburgに着いた僕らは、街を散策した後、Berlin行きの列車に乗り込んだ。

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Berlinでの宿泊は2日目と同じユースホステルである。
この夜は12人くらいの大部屋。
いろいろな国からの旅人に出会い、酒を飲みながら談笑した。

わずか10日ほどではあったが、ドイツ国内の様々なものに触れ、感じ取ることができた。
また、旅先では色々な国からの旅人と出会うことができ、会話できたのも楽しかった。

有意義で楽しい旅となった。

明日はいよいよアパートの入居日である。

14日目

ユースホステルを出た僕らは、アパートへ向かった。

大家と10日ぶりの再会である。 契約書にサインをして、鍵を受け取った僕らは、お互いの場所を決め、早速部屋に荷物を配置し始めた。

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住むところがある安心感をお互いに噛み締めていた。

若干時間がかかってしまったが、これでようやくスタートラインに立つことができた。

落ち着いたら画材を買いに行こう。
入居祝いに、ビールも。

2007年6月26日 記

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コメント

  1. kurashito より:

    あぁ、ワクワクしました!
    若さあふれる旅日記、最高ですね!

  2. islog より:

    id:kurashito さん
    ありがとうございます。
    日記ってこの時以外書いたことないのですが、意外と面白いものですねw

  3. kame710 より:

    こんにちわ。
    やあスゴイですね。
    こんな経験をちっとも持たず、人生の終焉も近いのに隣の韓国さえいったことありません。
    そんな私が言うのも憚れるのですが、人間、生きている間にishikawaさんのようにいろいろな国をみてまわり、さまざまな国の方と知りあうのはそれだけ自分が大きく広くなるんだと思います。
    このブログを読まさせていただいて、そんなことも感じさせてもらっています。

  4. islog より:

    id:kame710 さん
    ありがとうございます。
    こんなことをしている最中はそれどころじゃないのですが、今振り返ればこういう振る舞いができたこと自体幸せだな、と思っております。
    おっしゃるように、さまざまな国があるだけいろいろな考えがあるので、刺激を受けたのには違いありません。
    今でも世界とネットでつながっているのは間違いないので、使い方を模索おりますです。

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