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写真加工のバイトをしていた時の『特殊加工』の話

写真加工のバイトをしていた時の『特殊加工』の話 ライフスタイル
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パソコンのディスプレイは一面肌色。

その中に、黒い点がポツポツ、と。
点を消すのが僕の仕事。
一つ残らず肌色に染めましょう。

手元の指示書には、手書きで一文書かれおりました。

わきをきれいにしてください」。

写真加工のバイト

当時、僕は写真加工のバイトをしていました。
全国にいくつかある写真スタジオから送られてくる撮影データを、Photoshopで調整・加工し、印刷に渡すのが主な仕事。

写真スタジオでの撮影と言っても、スタジオによってカメラマンのスキルに相当の差がありました。
極端な話、アルバイトがシャッターを切っているだけ、というようなスタジオも。
そのため、印刷前に明度や色味の調整をおこなっていたのです。

撮影される内容で最も多いのが七五三などのお祝い事の際の家族写真。
みなさん当然笑顔で写っているので、写真を受け取った際にも笑顔になっていただけるように写真を綺麗にしよう、というのがモチベーションになっておりました。

通常業務としてはマニュアルに沿った明度や色味の調整なのですが、バイトを始めて数ヶ月経つと、通雨の加工の範囲から漏れた依頼がまわってくるようになりました。
それが、特殊加工でした。

特殊加工

その名の通り、『特殊加工』は通常はおこなわない特殊な加工。
写真には撮ったときの状態がそのまま写るわけですが、写真に写っていたものを削除したり、写っていなかったものを写真に追加する加工のことをそう呼んでいました。

スタジオからはデータと一緒に指示書がくるのですが、その際に特別な加工指示がはいったものが特殊加工として僕の手元にくる流れ。

多かった指示が、冒頭の「わきをきれいにしてください」。
僕が一番最初に特殊加工をしたのも、この案件でした。

データを開いてみると、水着姿の女性の上半身が写った写真。
「わき=背景」だと思って開いたのに、そもそも背景なんかほとんど写っていないわけです。
家族写真がメインだったのですが、宣材写真の撮影なんかもしていたため、グラビア写真がくることもよくありました。

女性のポージングは、モデルさんがよくやりそうな両手を上にあげたもの。

写真加工のバイトをしていた時の『特殊加工』の話

あああ、「わき=脇の下」か。
気づくまでには若干時間がかかりました。
※アイキャッチ画像は大五郎(猫)の脇の下のクローズアップです。

グラビア撮影をするって聞いてなかったのかしら、とその時は思ったのですが、その後も何度も同様の加工依頼が続くこととなります。

画像を開き、画面全体が肌色になるまで脇の下を拡大し、毛を一本一本抜いていく(消していく)。
朝一にこの作業をしたりすると、1日萎えました。
僕は何をしているのだろう、とw

エロ系や芸能系の画像の扱いとかどんな感じなのだろう、とか考えるといやー恐ろしや。

写真に写っていないものを追加するということ

特殊加工依頼には、ちょっと信じがたいものもありました。
脇毛を消すなんてのは造作もないことなのですが、元々写ってないものを追加するのは結構大変でして。
記憶に残っているのが、「足をはやしてください」という指示。

一文から想像するに親身になってあげなくてはいけない要望なのかな、と思いきや、画像を開いてみると椅子に座っているお子さんが片方だけ正座をしてしまっている状態でした。
つまりは、「両方の足をおろしている状態にしてくれ」という指示でございました。

そもそも、撮影後にお客様に撮影データちゃんと確認してもらったの?とか突っ込みどころが満載なわけですが、上司からスタジオに問い合わせてもらっても、スタジオの返事は「やってほしい」の一点張りとのことで……。
写っている足をコピーして、左右反転して、膝からくっつけて、自然に見えるように。
両足をおろした状態にして(見せて)、印刷と相成りました。

納品は無事終わったようだったのですが、「もはやあれは写真とは呼べないのでは」と悩むことに。
結果、次の週にはバイトをやめることを伝えていました。

嘘をついちゃっているな、という気持ちでした。
結果、受け取ったお客様が喜んでくれたとしても、ちょっと複雑。

デジタル技術が進化することで、真実を簡単にぱっと見わからないように捻じ曲げることができるようになってしまった感覚。
とはいえ、その技術のおかげで表現の幅がひろがっているのも事実。

その恩恵を受けて僕は飯を食っている部分があるわけですし。
未だに考え続けている課題でございます。

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