Tacheles(タヘレス) – ベルリンのアーティストが集まった廃墟

Kunsthaus Tacheles (アートハウス タヘレス)という名のドイツ・ベルリンに存在した建物をご存知でしょうか。

2012年に残念ながら閉鎖されたしまったのですが、いたるところでアートに触れられるベルリンにおいても、そのアーティスティックな存在感は際立っていました。

2014年に訪れたときには入り口にチェーンが巻かれ固く閉ざされていましたが、その入り口が開放されていたときのタヘレスは地元の若者や観光客が多く訪れる場所でした。

廃墟のような外観。
ステッカーが張り付くされた壁。
そこに集まるアーティストたち。

その面白さは圧倒的でした。

ベルリンの『アート』の中にタヘレスが存在していた頃

僕がベルリンにいた2007年から2008年。
僕は毎日のようにギャラリーを回ったりしてアートに触れていました。

ギャラリーが多く気に入っていたのが、August(アウグスト)通り周辺。
そこで声をかけられて、現在に至っても仲の良いアーティスト仲間もできました。

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そして、そのAugust通りをOranienburger(オラーニエンブルガー)通り方面に進み突き当たったところに、タヘレスがありました。

ギャラリーをまわってからタヘレスに行くのが僕のお気に入りのルート。

この頃のタヘレスはまだまだその存在感を存分に発揮していました。

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Oranienburger通りとFriedrich(フリードリッヒ)通りという大きく栄えた通りが交差した場所にそびえ立つ、廃墟。

タヘレスは僕の中でベルリンを象徴するものでした。

アーティストが集まる廃墟タヘレス

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元々はデパート。
第二次大戦で破壊されて廃墟となっていたその建物を、ベルリンの壁崩壊以降東西の若手アーティストが不法占拠しアート活動を始めました。

文化財にも指定されていたタヘレスは、Kunsthaus(アートハウス)と呼ばれ、アーティストの活動の拠点となっていたのです。

建物自体がアート作品

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外観はコンクリートが崩れて剥き出しの鉄筋が見えていたり、窓が無い箇所があったりと、まさに廃墟と呼ぶにふさわしい姿。

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あらゆる『面』にはグラフィティが描かれており、ただただ自由に表現する場所として存在しているのがわかります。

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建物の敷地内には砂が敷き詰められた庭があり、そこにも作品が「転がって」います。

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近くの建物の壁も、キャンバス。
どうやって描いたのかしら。

退廃的な気だるさと創作意欲に満ちたエネルギー

中に入ると、あまり他では感じることのできない雰囲気が待っています。
窓の光が届く場所以外は、薄暗く、空気も籠っているのです。

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ただただ漂っているのは退廃的な気だるさと、創作意欲に満ちたエネルギー
そして、結構きつめのアンモニア臭。

息苦しい。

入り口から一歩入ってすぐ引き返してしまう人を何人も見ました。
まあ確かに、影から全身ピアスのスキンヘッドの男がでてきてもおかしくないし、空気を怖いと感じたら身を置けないでしょう。

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赤く塗られた壁は、フライヤーやグラフィティで埋めつくされています。
壁を見ているだけでも楽しい。
いくらでも見ていられる、壁。

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デパートの名残も残っていて、階段の造りなんかは美しかったりします。
手すりはぐらぐら、階段のコンクリはぼろぼろだったけど。

アトリエと下着姿の男

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デパート時代にも使われていたであろう各部屋がアトリエや工房となっており、アーティストが作品作りをしつつ作品を展示・販売。
ラウシェンバーグのような自由さを感じる作品が当時は多かったように思えます。

後、僕が行っていた頃のタヘレスには下着姿のおじいさんがいました。
しかも、女性ものの真っ赤な下着です。

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ショーツとブラジャーを着けたそのおじいさんが、何をするでもなく後をつけてくるのでした。
日本から友人が遊びに来てくれた際、タヘレスに連れて行ったのですが、この下着おじさんにストーキングされて終始怖がっていました。

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話しかけたわけではないので恐らくですが、彼の行為はパフォーマンス作品なのではないかと僕は感じていました。

毎回毎回、彼は僕の後ろを静かについてきました。
なんだか健気で真面目な彼が面白くて、僕は好きでした。
格好は、ひどかったですけどね。

まとめ

タヘレスが気に入っていた僕は、タヘレスに入居することはできないかと調べたことがあります。
結果、作品審査に通ればアトリエを借りることができると知り、僕はすぐに作品を提出し、審査に通過しました。

しかし、改めてルールを聞いてみると、タヘレスで生活すること(住居として使用すること)が禁止だったため、アパートとタヘレスの費用を両方支払うのが難しく、断念してしまいました。
今となっては、無理してでも展示をすれば良かった、と思います。

ベルリンのアーティストが集まった廃墟、タヘレス。

このような素晴らしい場所が閉鎖されてしまったのは残念な限りですが、表現の自由・場所を探求するその精神がベルリンに宿っていることを祈っています。

筆者について

筆者について


1982年、東京下町生まれ。
高校卒業後、アメリカへ留学。その後、「アートが根付いた国では絵だけで食えるのか」を確認するため、ドイツベルリンにてアート活動をおこなう。

日本に戻ってからは、コーディング・オーサリング・プログラミングなんかを経て、ウェブディレクターを肩書きにしておりました。現在は独立し、ブログやサイトの運用を軸に、ウェブサイトの企画提案からデザイン・構築まで手広く活動しております。何でも屋です。

isLog〜イズログ〜では『日々生きること自体が旅』をモットーに、日々の旅を中心に綴っています。

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コメント

  1. kame710 より:

    こんにちわ。
    すごいですね!
    ishikawaさんの作品。私にはまったく鑑賞能力がありませんが、ともかく、観たいです。
    ステキですね。自分にはわからなくても。

  2. islog より:

    id:kame710 さん
    ありがとうございます。
    あ、写真の作品はですね、ベルリンの作家さんたちのものなのです。
    わからなくても、作品を見て何か感じればそれで作品との接点はできたのだと思います!

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